2017年2月19日「知る不幸」
1992年に大学を2回落第して、学校のルールで自動的に中退になりました。
それから専門学校に入学するまでの2か月の間
ガソリンスタンドでアルバイトをしていました。
ガソリンスタンドでは、私は給油作業以外に洗車作業もしていました。
給油に来られた方から洗車の依頼が飛び込むこともありましたが
洗車のほとんどは予約の方でした。
近所の会社の社長さんや重役さんの車を
昼間に預かって洗車をして夕方までに戻します。
社長さんや重役さんは日々猛烈に忙しいだろうから
もはや自分で洗車をしている場合ではないと思います。
そんな訳なので洗車にやってくる車が、バブル時代のハイソカー
トヨタのセルシオ(レクサスLSの前身となった車)
クラウンマジェスタ、日産シーマとかの
当時の価格で700万円位する国産の超高級車が洗車にやってきました。
私は高圧洗浄機で下洗いをしてから、洗車機に車をセットして洗って
その後に室内の清掃をしていました。
洗車機にセットするときに、それらのセルシオやシーマを
業務上、自分で20メートル位だけ運転する事が出来ました。
今、車のエンジンが掛かっているのかどうか
ドアを閉めるとまったく判らないんです。
速度計のランプが点灯しているので
キーをひねってあることは判るのですが
何しろエンジン音がまったく聞こえないので
エンジンを始動してあるか判りませんでした。
そばで他のスタッフの方が何かを大声で言っているように見えたのですが
もちろん声は聞こえませんでした。
雪山の山中に独りで居る位に室内が静かでした。
トヨタのクラウンロイヤルサルーンや日産セドリックも洗車しました。
辛うじてかすかにエンジン音が聞こえた気がします。
不幸な事に私は20歳のフリーアルバイター時代に
この世に別世界とも言える異次元の静かさの車が
存在することを知ってしまいました。
赤ちゃん時代に宮崎牛を食べ慣れてしまった位の不幸です。
アコードを試乗したとき、室内がとても静かでした。
アコードは電気自動車に発電機付きのエンジンが付いたような構成の車で
主に電気モーターで走るのですが
それを割り引いて考えても充分に静かでした。
今エンジンで発電しながら走行していると液晶モニターを見て知った上で
意識して耳を澄ますとかすかにエンジン音が聞こえるような具合でした。
アコードの2モーターハイブリッドシステムはきっと高価だから
同じ価格帯のガソリンエンジン車と比較するのは酷だと思いますが
それにしても充分に室内が静かだと思いました。
ただもし、ガソリンスタンドでアルバイトをしていなかったなら
アコードに試乗した時の感動が2割増しだったろうなと思えて切ないです。