2015年3月5日「がんたれ」
中学生の頃、レコードを買うお金もレコードプレーヤーも無かったから、
ラジオ番組で好きな曲が放送されたときに、
カセットに録音して楽しんでいました。
我が家のラジカセには、スピーカー接続端子が付いていました。
FMラジオの雑誌に、
(故)長岡鉄男さんの自作スピーカーの特集が載っていました。
同級生のコダマ君のお父さんから フチが少し破れたため使わなくなった
まだ動くスピーカーユニット(音の出る丸い部分の部品)をもらいました。
それをダンボール箱に穴を開けて付けたり、
長岡鉄男さんの記事を真似て
「ビア樽」という、2リットルもあるパーティー用の
大きな缶ビールの空き缶の底に付けたりしました。
取り付ける箱によって、音の量や質が変るのが分かりました。
その内、親戚のおじさんから立派な2ウェイスピーカーをもらったり、
フロア型の大型スピーカーをもらったりしました。
レコードプレーヤーやカセットデッキも もらって、
みんな使わなくなった”お古”なのですが、
高校の頃には、もらったものだけでステレオ一式が揃っていました。
(清水の舞台で)中古レコードを買ったり、
実家のお隣さんから、聴かなくなった洋楽のレコードを沢山もらいました。
FMラジオの雑誌に、
「スピーカーは置き方で音が変わる」
という特集が載っていました。
いろんな置き方を試しました。
台に置いたり、床に置いたり、
横に倒して置いたり、上下逆さまに置いたり、
壁にピッタリくっつけて置いたり、壁から離して置いたり。
こんな風に置いたら こんな音に変った、
置き方次第で折角のスピーカーも台無しになることが分かりました。
就職したときに母が、
給料をもらったなら、まず自分が一番欲しかったものを買いなさい
と話してくれました。
初ボーナスのときに、ずっと憧れていた
オンキョーの30cmウーファーの付いた3ウェイスピーカーを買いました。
それまで聴いた事がない位、とても低い低音が出て満足していたのですが、
スピーカーが大きくなったことで失ったものがあることに気付きました。
それから、パイオニアの2ウェイスピーカーを使い始めました。
その後も、私のスピーカーは次第にどんどん小さくなっていきました。
スピーカーが小さいと、低音はあまり出ないのですが、
小さいスピーカーを良い置き方で鳴らすと、
例えばコンサートのレコードを聴いたときに、
今、客席の右後ろ辺りから声がしたとか、
ステージのこの辺りで演奏しているとか、
そのような事が聞き取れる臨場感のある音がして、
小さなスピーカーには、小さなスピーカーならではの良い所があって、
大きなスピーカーにも良い所があって、
どっちが高級だとか低級だとかいう事は決して無いと思いました。
6年前に病気になって、
病気になると(当たり前ですが)平日も休日もなく一年中病気で、
なんにもやる気が起きなくて、毎日一日中ただ苦しいばかりでした。
テレビを見ても何をしても、楽しいと思えることが一つもなくて、
一体自分は何だったら、やる気が1ミリでも出てくるだろうかと
考えている間に半年位過ぎました。
そのときに、長岡鉄男さんの自作スピーカーの特集や、
置き方で音が変る特集とか、
イロイロ試して効果を感じることで知る事の出来た、
ステレオのノウハウを得た日々を思い出しました。
長岡鉄男さんのような自作スピーカーをやってみようと思い、
「よこい」という名前のバックロードホーン式のスピーカーを作りました。
この「よこい」が、出来上がったときにはとにかくヒドイ音質で、
グラフィックイコライザーを使った調整と、
自分で作った親バカ効果のチカラで懲りずに使ってきました。
それが、1年位前からグラフィックイコライザーをオフにしたほうが
音質が良いことに気付きました。
バックロードホーンは時間が経つと次第に音が良くなる
という風な事を長岡鉄男さんが書いていた事が、
当時は何の事かよく分からなかったのですが、
あぁ、こんな風に変っていくんだと今になって実感できました。
それで、ついに居間のテレビの両脇に置く
大きなスピーカーの設計を始めました。
私は43歳なので、仮に運よく平均寿命まで生きたとしても、
残り37年間しかありません。
バックロードホーン式のスピーカーを作って、
スピーカーユニットは15年位で故障するものなので交換しながら、
箱は死ぬまで使い続けよう、
箱の音の変化を楽しんでいこうと思っています。
子供の頃に体験から得たスピーカーの大きさ、形、置き方のノウハウを、
このスピーカーの形に込めています。
そのため、ステレオメーカーでは絶対に作らないような、
今までに見たことの無い奇妙な形になりました。
世界に一つしかないスピーカーですので、
スピーカーの名前を決めています。
「がんたれ」という名前です。
小さなスピーカーの良い所と、
大きなスピーカーの良い所を あわせ持つ形で、
歌手が目の前で歌っているかのような音…になってほしくて、
イタリア語の「カンターレ」(歌う)にすると名前負けしそうなので、
点々を打って「がんたれ」にしました
…というのは表向きの真っ赤なウソです。
「がんたれ」は宮崎、鹿児島の方言で、
出来損ない、役立たず、ポンコツ
という意味です。
壊れかけの車をガンタレと言ったり、
バカ息子の事を「ウチのガンタレ息子が」と言ったりします。
また、その方言とは無関係に まったく別の意味で
相手を睨みつけることを「眼を垂れる」と言ったりします。
ラーメン屋さんの壁に貼ってあるような、
腕組みをしてお客さんを睨みつけるような店主の写真を見ると、
お客さんを睨みつけるなんて、これはまったくガンタレだなと思います。
私自身が今、いろんな所が故障して
結果的にガンタレそのものになってしまっている事と、
上記の3つの意味(ポンコツ、睨む、歌う)を込めて「がんたれ」としました。
今年中には完成して、記事を掲載できると思います。