2021年7月12日「ますむらひろしさんの銀河鉄道の夜・四次稿編を買いました」
ますむらひろしさんの 銀河鉄道の夜・四次稿編 1・2巻を買いました。
私の半生唯一の友達、同級生の金子君は
心臓病が原因の脳梗塞で21歳の時に亡くなりました。
大切な人が亡くなる時、私はなんにも出来ませんでした。
亡くなるとは思わなかったし
今までの感謝を伝えることも出来なかった。
亡くなった晩の翌朝に訃報を知り、もう二度と会えないことが判った。
落ち込んで、私が最後に金子君に向かって話した言葉を後悔しました。
これからどうして行けばよいか分からなくなったときに
賢治の銀河鉄道の夜を読みました。
銀河鉄道の夜は私にとって大切な物語です。
この世に残った者は
前を向いて次の一歩を踏み出さなければいけないと思います。
けれども、これは時間が解決してくれることではないと思います。
銀河鉄道の夜は つらい今生の別れを経験した方の
次の一歩を踏み出す上での心の支えになる物語だと思います。
何かを成し遂げられなくても、前を向いて自分の道を進んだなら
金子君に胸を張って会える時が来るのだろうと思います。
こどもの頃にYMOを夢中で聴いて育ちました。
中でも細野晴臣さんの音楽が好きで、
それから細野さんの足跡を辿って、はっぴいえんどを聴きました。
岩手出身の大滝詠一さんらとのバンドで、
宮沢賢治の影響を強く受けたバンドです。
ますむらひろしさんの漫画・銀河鉄道の夜が映画化されたとき
映画のサウンドトラックを細野さんが作りました。
私は最初に細野さんのアルバムの一つとして音楽を聴きました。
それから小説を読み、漫画を読み、映画のDVDを観ました。
銀河鉄道の夜は謎が多くて、何度読んでも判らない所があります。
映像化するには判らないことが多すぎると思います。
ますむらひろしさんの漫画を初めて読んだとき
私の考えてきたことよりも、ずっとずっと先まで深く考察された
その回答(見解)を見ているようでした。
考察を重ね、賢治の生きた時代を知り、取り込んで推測しないと
賢治の世界を1コマさえも描けないだろうと思います。
物語の中でジョバンニやジョバンニのお母さんは
この世でストレスに満ちた暮らしをしていると思います。
そのストレスの一番の原因は他人からの悪口です。
ジョバンニらには何の落ち度もない、根も葉も無い悪口が
浮世を生き辛いものにしているのだと思います。
ますむらひろしさんが銀河鉄道の夜の新バージョンを作り
連載することを知って楽しみにしていました。
例えば物語の中で悪口を言うヒトたちの
読んでいてつらく思うようなその薄ら悪い表情も
1コマの中に緻密に描かれています。
もちろんつらい事ばかりではなくて
次々と現れる、この世とは思えない美しい情景描写や
プリオシン海岸を翔る2人の姿や
すべてのコマが愛おしく、天にも昇る気持ちで読みました。
私はジョバンニの目が覚めて この世に戻ったときに
ジョバンニ自身はまだ気付いていないけれども
一つオトナになって少しだけ強くなったような
悪口を言う者にも毅然としていける日がいつか来るように感じています。
その姿は賢治自身や読者の背中を押しているのだと思います。
漫画の完結を祈念し、楽しみに待とうと思います。