| 矢 野 純 T O D A Y 瓦 版 |
ヤノ劇場 大ホール用 バックロードホーン型 スピーカー「がんたれ」 のアイディア、コンセプト、設計 |
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[アイディア] 小さなスピーカーを壁や床から離して鳴らすと、雰囲気の良い音がします。上図のように設置したスピーカーでコンサートのレコードを聴くと、 今、会場の右後ろの辺りから歓声がしたとか、 会場はライブハウスのような狭い所かなとか、 そんな事が音から自然に感じ取れます。 今 その場に居るような雰囲気が感じられて楽しいです。 そのような雰囲気が得られるのは、 スピーカーを壁や床から離しているからだと経験的に思っています。
スピーカーの周りに余計な物が無いと、スピーカーから出た音が 丸い玉のような形(球面波)を保ったまま空間に広がっていき 音の方向や会場の広さなどの雰囲気を感じ取りやすくなるのだと思います。 一方で、小さなスピーカーでは低音が足りなくて音が甲高いです。 大きなスピーカーなら低音が充分に聴こえますが、 今度は良い雰囲気を得るのに使いこなしの面で苦労します。
小さなスピーカーの雰囲気と大きなスピーカーの低音、 両方を得られるスピーカーを作ろうと思いました。 そのような狙いのスピーカーでは、オーディオ評論家の (故)長岡鉄男さんが設計した「スワン型スピーカー」が有名です。 私はスワン型スピーカーに憧れて、いつか作りたいと思っていました。 ですがスワン型スピーカーを実際に使おうと考えると、 背面のホーンから出る音によって壁や床が共振するのを弱めるためには 幾らか壁から離したり、頑丈な床に置かないといけないだろうと思います。 我が家の居間で上手に鳴らすのは難しいと思って、 スワン型スピーカーを作るのは諦めました。 そこでスワン型スピーカーのアイディアを下敷きにして、 我が家の居間に合うスピーカーを設計しようと思いました。 [コンセプト]
1.小さいスピーカーを台に置いたような形にします。
音源(音の出る所)を小さくまとめて壁や床から離し、 音源の周囲(天面、側面、背面)に最低限の空間を確保することで、 小さなスピーカーの持つ雰囲気の良さを狙います。 2.バックロードホーンでソコソコの低音を補います。
大きなスピーカー並み…とはいかないまでも、 私の好きな大衆音楽を聴くのに充分な低音をホーンで補います。 50Hzの低音が実用になる事が目標です。 3.我が家の居間に簡単に設置できる形にします。
音源を小さくまとめ高く配置することで テレビの脇に置くだけで具合良く鳴らせるようにします。 居間のテーブルや椅子の配置の影響を受けにくくします。 [スピーカーユニット選び] FOSTEXのFE138ES-Rを使います。
16cmユニットは私の使い道には大きすぎる気がして、 5インチ(12.5cm)位のユニットが良さそうだと思っていました。 7年前、FE138ES-Rが発売されたときに、 13cmユニットの発売を喜んで買ったのですが、 うっかりしていて7年間も過ぎてしまいました。 ユニットは電化製品で可動部品なので将来壊れる日が来ます。 ユニットを交換しながら、箱は一生使い続けたいと思っています。 将来も13cmユニットをFOSTEX社が発売してくれるのか少しだけ不安です。 長岡鉄男さん亡き後も、自作バックロードホーン型スピーカーが 再び永遠に盛り上がり続ける事を 祈ってばかりでは実現しないので頑張って自作します。 [アンプ] D級アンプを使います。 TOPPINGのTP22を買いました。 我が家の使い道では2系統入力が必要だったからです。 [設計] 今回の「がんたれ」スピーカー製作の予行練習のため 7年前にパソコンデスク用バックロードホーン型スピーカー 「よこい」をオリジナル設計で自作しました。 作ってみて、使ってみて気付いたことがありました。 1.完成直後は中低音の音量が大きすぎて困りました。 特に200Hz付近の音が ホーンから盛大に鳴って困りました。 2.数年経って、徐々に音質が整っていきました。 「よこい」完成直後の音質は、とにかくヒドイ!の一言でした。 最初はグライコでゴマカして使っていたのですが、 いつのまにか、なぜか次第にバランスが良くなっていき、 現在はグライコを外しました。 今は本当に良い音で鳴っているような気がします。 …慣れただけかもしれません。 それで今回は、前回の反省からホーンを細長くすることにしました。 細くすることでホーンの効きを弱くして、 長くすることで低音寄りにホーンを働かせたいです。
エクセルで書いた3面図的な何かです。 設計前から外観を決めていたのでどうホーンを折りたたむかを考えました。 情熱のカケラのような、気休めのような、不要とも言われている 3角材にスピーカー端子が付いています。 設計の時にスピーカー端子を付ける場所を確保するのを忘れていました。 空気室背面に付けると良いのですが、 居間にケーブルがウネウネすると妻に申し訳が立たないので、 目立たない場所に端子を付けようと思って 苦肉の策で3角材に無理やり端子を付けました。 [設計パラメータ情報] 日頃から自作バックロードホーン型スピーカーを愛好されている方向けに、 参考になるか分かりませんが「がんたれ」の設計パラメータを載せます。 空気室容積(Va) 7.2リットル スロート断面積(So) 74cm2 スロート絞り率(SR) 振動板面積の0.9倍 ホーン長(L) 338cm ホーン開口面積(S) 338cm2(スロート断面積の4.6倍) ホーン断面積変化率(K) 1.046 ホーンクロスオーバー周波数(fx) 102.78Hz ホーン最低共振周波数(fr) 50Hz
今回もBachagi,h様の「スピーカー設計プログラムアプレット版」を利用 させて頂きました。 「よこい」のパラメータを入力して表示させた特性予想グラフと、 「よこい」の周波数特性をコンデンサーマイクで測定した結果が、 同じようなグラフになりました。 今回、パラメータを決めるのに益々アプレットを頼りにしています。 (※もちろん、失敗は自己責任です。)
「よこい」から経験的に得たことを「がんたれ」に反映するために、 ホーン長を3mオーバーにしたり、開口面積をスロートの4.6倍に抑えたり、 長岡鉄男さんの指南書に書かれた目安から少しだけ外れました。