矢 野 純 T O D A Y 瓦 版

泥沼音遊び(その2)


バックロードホーン型スピーカーの魅力

[バックロードホーン型スピーカーの魅力]


  バックロードホーン型スピーカーは、生き生きとした音がします。

  欠点も沢山ありますが、補って余りある魅力です。


  もう亡くなった方の唄を聴いても、

  さっき隣のスタジオで収録したばかりかのようです。


  なぜ生き生きとしているのかと言うと、

    1.振動板が軽やかに動くため

    2.ホーンから出る音との時間差のため

  ではないかと思っています。


  <<1.振動板の軽やかさ>>


  スピーカーユニットを裸のまま 箱に付けずに音を鳴らすと

  スピーカーユニット本来の音が聴こえます。

  

  けれども、裸のままでは高音しか聴こえません。

  中低音は耳に届く前に消えてしまいます。

  振動板の前から出る音波と後ろから出る音波が

  お互いに打ち消しあうからです。

  

  ユニットに耳を近づけると、次第に中低音も聴こえてきます。

  本当は中低音も鳴っているのだと分かります。

  スピーカーユニットを箱に取り付けるのは、

  中低音が消えてしまうのを防ぐためです。

  

  この裸のユニットの音が、

  今までに聴いた事が無いような、純粋な澄んだ音がするんです!

  …もう音だけなら最高!なんですが、美しい音を楽しむために

  ユニットに耳を押し当てて聴くのは不便です。

  

  密閉型スピーカーは振動板の後ろから出る音波を箱の中に閉じ込めます。

  振動板が動くたび、箱の中の空気が伸びたり縮んだりします。

  空気はゴムボールのように弾力があって、

  元の気圧に戻ろうと振動板を押し返します。

  

  この振動板を押し返す力を背圧と呼んでいます。

  常に振動板とは逆方向に働くチカラです。

  振動板は背圧に抵抗しながら動いています。


  ユニットを裸で鳴らすと、背圧が無い状態…というか、

  前面の気圧と背圧がほぼ等しい状態で振動板が動きます。

  背圧に邪魔されずに自由に振動板が動くから、

  小さな音の電流にも振動板が敏感に動いて、

  純粋で澄んだ音が聴こえます。


  バックロードホーン型スピーカーには背圧がありますが、

  密閉型やバスレフ型に比べると背圧が少ないので、

  振動板が軽やかに動く音が楽しめます。


  背圧の少ない音が楽しめるスピーカーには他にも、

  平面バッフル型や後面開放型、音響迷路型や共鳴管型などがあります。


  <<2.ホーンから出る音との時間差>>


  バックロードホーン型スピーカーは、

  まず前から音が出て、

  それから0.01秒位遅れて、ホーンから少し小さめの音が出ます。

  

  大きな音の後に、わずかにズレて小さな音が鳴ると、

  人の脳はそれを反射音だと自然に理解して、

  良い響きだ、生き生きとしていると感じるのだと思います。


  何はともあれ、バックロードホーンの音は生き生きとしています。

  理屈抜きに生き生きとしています。

  ずっと大好きな音楽も 新鮮に楽しめます。


  一度スピーカーユニットを裸で鳴らして、音を聴いてみませんか。


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