泥沼音遊び(その2)
ダイソー300円USBミニスピーカーを改造して純セレブスピーカーを作りました。 |
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製作 2018年12月2日
[経緯]
純セレブスピーカーは、安冨歩先生と片岡祐介先生が考案し、
開発しているスピーカーです。
スピーカーユニットを段ボール箱に付け、箱の中を紙くずで満たす
特徴があります。
両先生が開発しているほか、純セレブスピーカー愛好者の皆様が
いろいろなスピーカーを開発して楽しんでいます。
私はツイッターで、純セレブスピーカーの情報を知りました。
それから、安冨、片岡両先生が純セレブスピーカーについて語る動画を
ユーチューブで検索して観て共感しました。
スピーカーは、前面から出る音と同じ量の音が背面(箱の中)にも出ます。
純セレブスピーカーは、背面から出るの音のうち
幾らかを吸音材である紙くずと、段ボール箱の部分で減衰させて
幾らかを段ボール箱の表面から発散させるのだろうと思いました。
もしその通りなら、
スピーカーの箱全面が振動板の役割をもって全方向に音が出る
点音源から球面波が出る理想のスピーカーが作れる、
定位の良いスピーカーになると思って興奮しました。
自分も作ってみようと思いました。
[検討]
私には純セレブスピーカーの開発ノウハウがまったくなかったので
とにかく作ってみて、そこから経験を積んでいく以外にありませんでした。
ダイソーに行って300円USBミニスピーカーを買ってきました。
もはや説明不要の、流行中のスピーカー(ユニット)です。
分解してスピーカーユニットを取りだして使います。
箱の大きさや形、素材などの要素を丸1日間考えたのですが
ノウハウがないので いくら考えても私には決められないと思い
開き直って、半ば当てずっぽうで決めていきました。
もし球面波が出るとしたらサイコロのような立方体にすると良さそうだと
思い、立方体にしました。直方体にしても問題ないだろうとも思いました。
正多面体や球面にすると良いとも思いましたが根気がありませんでした。
箱の大きさが大きければ、音が箱を通過するときの減衰量が増えて
小さければ紙くずを入れられる量が少なくなり
減衰量の調整が難しくなりそうな気がしました。
スピーカーユニットの大きさや磁気回路の強さ、箱の素材によっても、
ちょうど良い大きさが変わるだろうとも思いました。
しかし判断できる経験がないので
最終的に取りだしたユニットをじっと見て、直感的に1辺12cmにしました。
たまたま家にあった段ボール紙が、厚さ4ミリの1重の波のものと、
厚さ2ミリの1重の波のものがありました。
段ボール箱が振動板の役割とダンパーの役割、減衰板の役割を兼ねている
と思ったので、より弾力のあった厚さ4ミリのものを選びました。
もし厚紙ならどうかとか、弾力のあるプラスチックならどうかとも思いま
した。音の反射が少ない素材が良いのだろうと思います。
箱の底面からも音が出るだろうと思い、スタンドを作ることにしました。
結果的に、スタンドは無くても良いかもしれないと思いました。
スピーカー本体が軽くて表面が柔らかいため
テーブルに直置きしても共振音が聞き取れず
耳の高さから多少ズレて配置していても良い音がします。
もちろん耳の高さに合わせたほうが より良かったです。
もし球面波が出るとしたら、あやつり人形のように数本の糸を使って
スピーカーを天吊りにすると最高に楽しめそうだと思いましたが
天吊りは難易度が高そうだったので速攻で挫折しました。
[製作]
使用したものです。
ダイソー300円USBミニスピーカー、
物置にあった古いダイソーRCAケーブル、
たまたま家にあったネット通販の段ボール、
ネット通販の緩衝材だった無地の新聞紙、
外装の仕上げに使おうと思ったダイソー貼れる布です。
その他、接着剤(木工用ボンドを使いました)、
はんだと熱収縮チューブを使いました。
分解してユニットを取りだして、元々の配線をはんだごてで外しました。
物置にあった古いRCAケーブルを裂いて切断し、スピーカーケーブルとして
はんだ付けしました。
コピー紙の裏紙に展開図を描いてみたり、
電卓で足し算したりしながら墨付けをして切断しました。
箱から作ることにしてしまったため
部材の切り出しに6時間も掛かって途中で来週に延期しそうになりました。
もしユニットをバッフルに密着させればユニットの振動が箱に伝わるから
箱から音を出す効果は高まると思ったのですが
今回はユニットの振動には頼らずに
スピーカー背面の音によって箱から音を出すことを優先して
ユニットと箱を分離しました。
日曜の朝に、ユニットのフレームに布エッジを貼る方法を思いつきました。
たまたま外装の仕上げに使おうと思って買ったダイソーの貼れる布を使って
前面と背面のエッジを作りました。
ユニットの背面にエッジを貼り付けました。
前面用のエッジは先にバッフルに貼りました。
取付穴を四角にしたので穴あけ加工が簡単になりました。
両方を合体させました。
裏面から。
ユニットがグラグラしています。
箱を組み立てて、試聴しながら紙くずの量を調整しました。
フタが開かないように、たまたまテーブルにあった蜜柑を重しにしました。
不覚にも鏡餅感が出て、もう正月が来た気分です。
まず、紙くずを入れずに試聴しました。
箱から出る中低音の量が多く、ときどきビビリ音が出ます。
おそらく気中共鳴のせいだと思います。
箱の中に紙くずを、非常にゆるく満たしました。
ビビリ音が消えました。若干、中低音の量が減りました。
まだ中低音が大きすぎる気がして、次第に紙くずの量を増やしていきました。
片方に新聞紙1面分、約60cm*40cm位の紙くずを入れた所で
中低音がほとんどなくなって甲高い音になりました。
紙くずを詰めすぎました。
そこから紙くずを少し取っては試聴していき、
私にとって心地よい音が鳴るところを見つけました。
子供のころ、音楽鑑賞に目覚めるきっかけになったY.M.O.のテクノポリスを
もう30年以上聴いています。(他の音楽も沢山聴いています。)
いろんなスピーカーやヘッドホンでテクノポリスを聴き続けてきたため
テクノポリスが良く鳴った場合のイメージが頭の中にあります。
最終的にテクノポリスの鳴り具合で完成を決めました。
今回、このように非常にゆるい詰め具合になりました。
ユニットの大きさや磁気回路の強さ、箱の大きさ、形、材質によって
紙くずの量は変わるのだろうと思っています。
今回、私のスピーカーがたまたまこの量のときに
私にとって心地よい音が出たということでしかありません。
こんなに中身がゆるくなってしまった事を考えると、
もっと箱を小さくしたり
薄い段ボールや厚紙でも良かったのかもしれません。
布エッジの強度が不足していて、重みで少し傾いています。
ダイソー300円USBミニスピーカーのユニットを使った
平面バッフルスピーカーと共に。
[感想]
定位が良く、立体感が抜群です。
声が中心の前方から、ベースが右の奥にあるという風に、
立体的な音の配置がハッキリと判ります。
定位を期待して作ったのですが、期待以上です。
歌声をいろいろ加工して作ったような唄は
声が中央付近に霧散してしまったりします。
大滝詠一さんの唄を聴くと音が平らな壁になっているのが分ったりして
このスピーカーで聴くと、録音物の制作の意図が丸出しになります。
ライブアルバムは会場に居るような気分です。
坂本龍一さんのピアノ独奏コンサートのアルバムを聴くと
今お客さんがくしゃみをしたとか、
咳き込んでしまって止まらなくなったお客さんが居たりして気になります。
このスピーカーが苦手なジャンルがあるか
探したのですが見つかりませんでした。
Y.M.O.はシンセサイザーの音楽なのですが問題ないです。
私の好きな曲の中に、イントロがベース独奏の曲が幾つかあります。
スピーカーによっては、イントロのベース独奏が聞こえなくて
聞こえるように音量を上げると
別の楽器が入ってきた時に大音量すぎて あたふたします。
その中の一つ、アーチー・ベル&ザ・ドレルズのタイトゥン・アップを
聴きました。
直径5センチのユニットに低音を求めるほうが間違いなのですが
このスピーカーでは、低音の音量はやや不足しているものの
ベースの輪郭を聞き取ることができました。
おそらく8センチ位のユニットなら
大衆音楽を聴くのに充分な音域が確保できるのではないかと思いました。
もしミニマルな生き方をするなら、
スマホと 小さなデジタルアンプと 純セレブスピーカーがあれば
音楽を存分に楽しめる環境が手に入ると思います。
私は出来上がったスピーカーの音を聴いて
”純セレブ”という名前が、これ以外にないようにしっくり感じました。
語弊がありますが、セレブがお金持ちの有名人だとすると
セレブは外見もお金持ちなら実際もお金持ちであり
純セレブは、外見は高級ではないが
音質は高級であるという意味だと私は解釈しています。
私には、純セレブスピーカーを開発するノウハウがまったくなくて
箱の大きさなどを、半ば当てずっぽうで作ったのですが
それでもこのスピーカーが良い音質になったのは
安冨、片岡両先生が考案した仕組みが
いかにも優れていることの証明になると思っています。
完成から2日後、もうカーステレオの音質が退屈になってしまって
早くこのスピーカーの音を聴きたいと思って家に帰ったら、
片方、布エッジが剥がれてしまって
ユニットが箱の中に落ち込みかけていました。
布エッジ作戦、大失敗/(^o^)\
大失敗…。
ユニットを下にして補修中です。なんとか生き返りました。
しばらくは、使用しないときはユニットを下面にしておいて
だましだまし使っていきます。
失敗の先には成功があるって、誰かが言っていたのを聞いたって聞いた。
しばらくインドに自分探しの旅に出ます。パスポート持ってない。
この失敗によって、ノウハウを少しだけ得ることができた
って言う風に前向きにとらえて、
しばらくの間、天井を眺めながら解決策を考えます。
それでは、また第2弾の製作報告でお会いしましょう!
2018年12月5日 追記
この記事をご覧の皆様の中には、
私も純セレブスピーカーを作ってみよう!
と思う方がいらっしゃるのではないかと思います。
そのときに、作る上で注意してほしいことがあります。
1.電線ショートによる火災の危険性
スピーカーを使っているときに
ケーブルのプラスの線とマイナスの線が接触すると
ショートした所が一瞬で、やけどするような高温になり
中の紙くずに燃え移って火災になる恐れがあります。
例えば金色や銀色のメタリック折り紙などは
紙の中にアルミ箔が入っています。
そのような電気を通す可能性のある紙くずが
この写真にあるプラス端子とマイナス端子に接触すると
ショートして燃えあがる恐れがあります。
危険ですので、そのような紙くずを中に入れるのはやめてください。
入れる方は居ないとは思いますが
濡れた紙も電気を通すので危険です。
無地の新聞紙やコピー用紙などは、乾いていれば大丈夫です。
2.過大入力による火災の危険性
スピーカーに入力できる電力の大きさは
スピーカーユニット毎に決まっています。
例えばダイソー300円USBミニスピーカーは
箱に3Wx2と書いてあります。
左右それぞれに3ワットまで入力できるという意味です。
3Wを超える音量で使うと
スピーカーユニット内部のコイルが熱を持ち
次第に焦げ臭いにおいがして、やがて発火し火災になります。
3ワットとは一体どれくらいの音量なのか
確認しておく必要があります。
一番簡単な方法は、ダイソー300円USBミニスピーカーを買ってきた
ときに、USB端子を電源(USBアダプターなど)につなぎ
ヘッドホン端子をスマホなどにつないで音楽を再生して
ダイソー300円USBミニスピーカーに内蔵されているアンプの音量を
徐々に上げてみると良いです。
それくらいの音量までは大丈夫です。
2018年12月8日 追記
安冨先生が、過大入力の危険性について実験をし、結果を公開されました。
ユニットの深刻な温度上昇について(2018.12.08 安冨歩)
上記リンクを開き、必ず読んでください。
ダイソー300円USBミニスピーカー(定格3W)のユニットに
50Wのアンプをつなぎ、音量を最大にして音を鳴らした結果が
掲載されています。
大変な過大入力です。
尚、過大入力の危険性は
ダイソー300円USBミニスピーカーに限った話ではありません。
その他のスピーカユニットや、市販のスピーカーシステムも含めて
メーカーの示した定格入力を超えた音量で使った場合には
同様の危険があります。
スピーカーを楽しむうえで、必須の知識です。
2018年12月6日 追記
どうしても片方だけ毎日、布エッジが剥がれ落ちるので
対策として、つっかえ棒を付けました。
磁石の重さを受け止める作戦です。
見事なまでに安定しました。
布エッジ作戦の夜明けは近い!!
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