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だ・べ・り・ん・ぐ・る・ー・む |
1997年11月01日(第20回)
連載一行小説 「花郎」 最終行スペシャル!
それは、花郎の元に届いた一通の手紙から始った・・・。花郎と太子の運命はいかに!
今回は、特別に、「花郎」の全文を一挙掲載します。
・・・それでは、ごゆっくりお楽しみ下さい。
連載一行小説 「花郎」 最終行(全十七行)
切手の貼られていないその封筒には、ただ一言、「花郎様」と書かれている。見覚えのある文字。懐かしい文字。
封筒の封を開けなくても、それが太子からのものだという事は、直感的に解かる。「太子・・・・。」
・・・幼なじみの太子とは、気の置けない仲間だった。”過去形”なのは、若さゆえの行き違い。
・・・兄弟のように育った子供時代、異性だと認め合うようになった中学時代、そして。
たった一言の言葉のもつれから、恋人も、幼なじみもすべて失った。今も、思い出せば気まずいね・・。
しかし、切手の無い手紙を投げ入れたのは「太子」?・・・俺に直接渡す事ができない事情でもあるのか?
「花郎様」とただ一言だけ書かれた封筒は、まるで、ただならぬ意志を伝える為の手段の様に思えた。
「・・・結婚でも、するのか?」・・・太子からの白い封筒を見ながら、ふと、そんな気になった。
急に、忘れていた太子への思いがよみがえる。もう、どうしたら良いのか分からない。自分がこんなに、冷静さを欠くなんて。
俺は、このやるせない気持ちを抱えたまま生きていくのか?・・何もかも忘れた振りをして。俺の「太子」への想いは!
・・封筒の口を切るはさみが震える。・・「太子」からの真白い封筒の中身をいま、取り出し、勇気をもって広げた。
「花郎様 私はもう駄目です。先に天国で待ってます。 太子」・・・「何!」・・何も考えず、駆け出す花郎。
なりふり構わず走り、たどり着いたのは山奥深くの”秘密基地”・・・子供時代、2人で良く遊んだ場所だ。
「やっぱり、来てくれたんだ。」・・声の主は、もう数年ぶりに会う、見違える様に美しくなった太子だった。
「「やっぱり」って、あんな手紙よこされちゃ・・、悪い冗談はよせよ!」・・・普段に無く荒々しい声で言う。
「だね〜!ちょっとジョーダンきつかったね〜」「そんな太子が憎めないんだよな!あはははははは!」
・・・おしまい。