矢 野 純 T O D A Y 瓦 版

泥沼音遊び


ヤノ劇場 小ホール用スピーカー
「よこい」の製作

[ヤノ劇場 小ホール]

  ヤノ劇場 小ホールは、

  定員1名の小さなホールです。


  建設場所は、私のパソコンデスクの中。

  要は、パソコン液晶モニター用スピーカーを自作しようという話です。


[現状]

  パソコンでMP3の音楽ファイルや、YouTubeの音楽ビデオを聴いたりします。


  今はノートパソコン付属のスピーカーで聴いています。

  

  ↑コレ(SONY VGN-A70P型)なんですが、

  直径57mmの、びっくりするほど小さいウーファーが付いていたりして、

  スピーカー開発者の涙ぐましい苦労を感じるのですが、

  絶対的な箱の小ささはどうにもならず、音質はイマイチな感じです。


[目標]

  ノートパソコン付属スピーカーに代わるスピーカーを自作します。


  数年後にデスクトップ型パソコンに買い換えるつもりなので、

  液晶モニターにも合う形にします。


  1.液晶モニターの裏側のデッドスペースを利用する。

     液晶モニターの裏側の空間を利用すれば、
     
     大きなスピーカーが作れるはず。

  2.小音量でも楽しめるスピーカーにする。

     近所迷惑にならない音量で、
     
     心置きなく楽しめるスピーカーにしたいです。


[取っかかり]

  自作スピーカー界のゴッドファーザー、
  
  故・長岡鉄男さんの本を買ってきた。

    世界でただひとつ自分だけの手作りスピーカーを作る

  と、

    長岡鉄男のオリジナルスピーカー設計術

  の1〜3。


  「世界でただ〜」の方は、初めて自作するヒトに向けた内容です。

  「〜設計術」の1分冊に、もう少し詳しく設計方法が書かれています。


  子供の頃に読んだ記事を、懐かしみながらペラペラめくってました。


[構想]

  バックロードホーンスピーカーに挑戦したいと前々から思っていて、

  ヤノ劇場 ホール用スピーカーとして
  
  作ることにしたんです。


  けれど、

  いきなり大ホール用スピーカーを作るのも、

  技術も無いのにアレなので、

  練習台として、まず今回の小ホール用スピーカーで、

  バックロードに挑戦します。


  エクセルでザックリと絵を描きながら構想を練ります。

  

  私の座卓パソコンデスクに液晶モニタを置いたとしたら、

  液晶モニタ裏側の空間と側面の空間を合わせて、

  左右それぞれ11リットル程度の体積が取れることが分かりました。


  体積からして、8cmフルレンジスピーカーユニットを使った
  
  バックロードならイけそう。


[スピーカーユニット選び]

  コイズミ無線のサイトを見たり、

  いろんな個人サイトでの評判を読みながら、

  8cmフルレンジスピーカーの中から、

  FOSTEX FF85K型を選びました。

  

  同じフォスのFE83E型と、どちらにするか悩みました。

  最終的に見た目でコレに決定…ってのはウソで、

  スピーカーユニットの特性がバックロード向きなのでコチラにしました。


[アンプ]

  パソコン用スピーカーなので、アンプも準備しなきゃいけない。

  パソコンのライン出力からつなぐので、

    「小型で小出力のd級パワーアンプ(ボリューム付き)」

  を探して、「鎌ベイアンプ」という商品にたどり着きました。


  たどり着いたのは良いものの、すでに完売、
  
  メーカー廃番(生産終了)になっていたので、

  やほお!競売で手に入れました。


[設計]

  バックロードホーンスピーカーの設計は素人の手に負えないものですが、

  長岡鉄男さんの本に、設計上の大まかな目安が書いてあるので、

  読んでいると、素人の私でもナントカなりそうな気分になってきます。


  長岡鉄男さんの本を何度も読みつつ、

  こちらのサイトのバックロードホーン型エンクロージャ設計プログラム

  (とっても便利です(^o^)…けど今はもう無くなったようだ(T-T))や、

  自作のエクセルシートで計算しながら、

  設計に必要な要素を決めて行きました。

  

  決めた値は、

    空気室1.4リットル、スロート断面積20cm2、音道193cm、
    
    ホーン開口面積120cm2、

  です。

  

  エクセル上で音道断面積を計算してみたり、

  計算結果に沿って板を並べてみたり、

  どうしても板がうまく収まらずに並べなおしたり、

  音道を再計算したり…という風に、

  何度か計算したり、図を修正したりして、このようになりました。


  音道作りはパズルゲームの様です。


[特徴]

  1.左右一体型

     左右のスピーカーが1つの箱に収まっています。

     液晶モニタの足が当たらないよう、
     
     背面部分は5センチ浮いています。


  2.ニアフィールド・バックロード

     ニアフィールドとは、ニア・フィールド・リスニングの事で、

     スピーカーの近くで、耳を澄ませる音の聴き方です。


     子供の頃、スピーカーユニットを箱に入れずに、

     裸の状態で音を鳴らしてみた事があります。

     耳を澄ましてみると、低い音は出ないものの、

     中高音はとても綺麗だったのを覚えています。

     何にも邪魔されずに自由に動くコーン紙の音。


     バックロードホーンスピーカーは、

     スピーカー・ボックス内部の圧力が(密閉型等に比べて)少ないはず。

     自由に動くコーン紙の音を、耳を澄まして聴くことで、

     小音量でも楽しめるスピーカーが出来るんじゃないか?
     
     と思いました。


     また、バックロードホーンの開口が前面、
     
     しかもユニット真下にあります。

     長岡教の方々から説教を受けそうな設計です。

     デメリットがある事は承知で、
     
     今回は「音源の集中」というメリットを選びました。


[材料揃え]

  ホームセンターへ行って、板を買ってきました。

  箱はパインの集成材、音道はツーバイ材(SPF)です。


  なぜ、合板ではなく、

  柔らかくて反りまくる材料を選んだのかというと、

  合板の小口の模様が苦手だからです。

  集成材のフィンガージョイントも似たようなモンですが、
  
  まぁ好みの問題です。


  我が家にパイン材カントリー系の家具が多いことも理由です。

  化粧台や電子レンジ台もパイン材で自作した事もあり、
  
  若干の加工ノウハウがあります。


  若干…というか、毛が生えた位、

  いや、ナノサイズテクノロジーというか、

  もう無いに等しい位のノウハウなんですが。

  そんなことはどうでもいいとして。


  スピーカーやターミナルは秋葉原
  
  …は我が家から1100km位あるので気軽に行けず、

  通販で購入しました。


  その他、金具類やボンド、
  
  円形の穴を開けるために自由錐を買ってきました。


[製作]

  2009年2月5日に材料のカットを始めました。

  1日間作業をして、疲れすぎて翌日寝込むという謎のサイクルを繰り返し、

  延べ2日間でカット作業が終わりました。


  買っておいた板を車に積んで、実家へ。

  父上所有の伝家の宝刀、日立工機のスライド丸ノコC7RSH型を借りました。

  

  レーザーマーカー付きで直角カットも斜めカットも楽勝、
  
  アマチュア木工家の憧れの工具です。

  音がウルサイので、田舎暮らしバンザイ的工具でもあります。


  丸ノコは取扱いを間違えると

  指を落としたり腕を落としたり命を落としてしまう工具なので、

  とにかく慎重に作業を行いました。

  

  工具はプロ級なんだけど

  操作技術が素人なので

  ソレナリな感じのカット精度に。

  

  ↑カット終わるの図。

  積み木あそびみたいだな。

  

  ↑音道を組み立て始める。(2009.2.18)

  何箇所か失敗したけど、致命的でもないのでそのまま組み立ててます。

  

  音道内部を塗装してケーブルを取り付けてから、
  
  残りの組立と塗装(2009.2.20)

  

  箱が出来あがったところで、実験をしました。


  スピーカー取り付け穴に口を当てて、「あ〜」と声を出します。

  すると、ホーン開口部から、

    「木のラッパ!」

  としか言いようのない響きを含んだ声が聴こえてきてました。

  私の作った木の箱は一応、
  
  バックロードホーンとして機能しているようでホッとしました。

  予想外の良い響きに興奮する37歳。


  写真では分からないけど、

  失敗を挙げるとキリが無くて、

  なんとも雑というか、良く言えば手作り感満点って雰囲気の出来栄え。


  何が雑って、設置場所の幅が793mmなのに、
  
  箱の幅が794mmになった。

  工作精度の問題だ。

  問題…というか、もう出来上がってしまったので
  
  未解決事件で迷宮入りなんだけども。

  でも大丈夫。設置場所を1mm広げればいい。

  万事オーライ気合いで押し込めっ!


  ユニットを取り付けて完成しました。(2009.2.21)

  

  パソコンデスクに置きました。

使用前
使用後
[聴いてみた感想]   自分で作ったスピーカーの音を自分で聴いても、   冷静な評価なんて出来るわけないです。   いわゆる「モニターサウンド」とは180度逆の音がします。   周波数特性は測ってないけど、特性が暴れていることは分かります。   特性を良くしようと吸音材を入れてみたりした。   そうしたら、欠点は幾分減ったけど、   長所も同じだけ減ってツマラナイ音になったので、   結局、吸音材は全部取り除きました。   [[良い所]]     勢いがある…というか、活きの良い音がする。     定位がいい。でも、ヘッドホンのように鬱陶しくない。     小音量でも聴ける。     ライブ盤が心地いい。   [[悪い所]]     周波数特性暴れまくり。 [グライコ導入]   周波数特性の調整用にグラフィックイコライザーを導入しました。(2009.3.26)   ベリンガー社のFBQ800というステレオ9バンドのモノで、6千円位でした。      そりゃもう、劇的に改善しましたよ。 [周波数特性]   完成から約8ヶ月間、周波数特性を測定しました。(2009.10.29)      Panasonic WM-61Aで作ったコンデンサーマイク+リスニング位置での測定です。   イコライザーOFFでの特性        イコライザーONでの特性             重ねてみた。(黒=OFF、青=ON)      [費用]      こんな工作が出来るのは理解ある妻のお陰です(T-T)♪〜 [名前]   長岡鉄男さんよろしく、      私も自分のスピーカーに愛称を付けることにしました。   その愛称は「よこい」です。   皆さん、覚えてくださいね…って、誰が覚えるカッッ!   「よこい」とは、   「憩い、休み」を意味する九州地方の方言です。     1.神経症での自宅療養(=よこい)中に、            再起を目指して作った事を忘れないための記念     2.心の憩い(=よこい)のスピーカー   という意味を込めました。 [定価]   費用はさっき書いた通りなんですが、   ココでは、このスピーカーの定価を設定します。   インターネットにはモノズキなヒトが居て、     「お金を出すのでこのスピーカーを作ってください。」   とか言うヒトが居るかもしれないという誇大妄想に基づいて、   予め定価を決めておこうという話です。   材料費は23,111円。   人件費6万円、儲けも6万円で、合計14.3万円。   で販売します…というのはウソ。   あのですよ、このスピーカーは世界にただひとつのスピーカーなのですよ。   何故ひとつなのかというと、     「同じ事を2度したくない」   と思える位に、大変なんです作るのが!!   「パソコン液晶モニター用に      ニアフィールドでバックロードって面白いんじゃない?」   っていう勢いがあって、      やっとのことで完成まで辿りつけたのですよ。   完成するともう勢いが無いので、2個目を作る根気無いですワタクシ…。     という訳で、このスピーカーの定価は5億円です。     問答無用、値下げ交渉断固拒否。   ってか、スピーカーは自分で設計して作ったほうが楽しいですよ。   さぁーて、ヤノ劇場大ホール用のアイディアを練るとするかぁ〜♪ [6年後の周波数特性]   久しぶりに周波数特性を測定しました。(2016.4.9)        6年前の特性(2009.10.29)        特に何もしていないのですが、なぜか次第にバランスが取れてきたので   イコライザーは不要になり、3年位前に外しました。   これがエージングなのかなと思います。   ところで、ついに2016年2月に   ヤノ劇場 大ホール用スピーカー「がんたれ」を製作しました。   よかったら是非ともご覧下さい。

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